2年生は今日から「お話のさくしゃになろう」(光村図書)の単元に入りました。 物語、あるいは小説の基礎は、18世紀にイギリスで確立されたと言われています(『源氏物語』の国の人間からするとやや抵抗がありますが)。 その基礎の一つに、Show, don’t tell.(見せよ、語るな)という不文律があります。登場人物が悲しんでいるとき、「○○は悲しんでいます」と作者が述べるのではなく、その人の悲しそうな様子を描写することによって、その気持ちを読者に想像させたほうが、物語としては効果的だとするものです。 では、人間は悲しむとき、どんな行動を取るでしょうか。「泣く」では分かり易すぎる気がします。悲しい時に涙を流さない人もいるのでは? もちろん、こういった人間の動向を理解するにはそれなりの心理的訓練が必要です。実は、この訓練にちょうど良いだろうと、常々思っていたゲームがありました。それは、アメリカのTaboo(タブー)と言うゲームです。 Tabooは、カードのいちばん上にある言葉を、その下の「禁止用語」を使わずに説明して当てさせるというものです。そこで、今回の単元用に、独自に簡易版Tabooカードを作ってみました。 2年生にはちょっと難しいゲームです。ただ、これに先駆けていろいろな絵や写真を見て話し合っていたおかげで、主旨はわかってくれたようでした。例えば、ドイツのサッカー代表が昨年末のワールドカップで一次敗退した時の写真。地に平伏す若干19歳のムシアラ選手を、キャプテンのノイアー選手が抱き抱えて起こそうとしているように見えます。どちらも写真からは涙は認められませんが、この上なく深い悲しみを子供たちも感じ取ってくれたようです。 ほかにも、上手に書くための工夫はいろいろあります。 以下の宿題プリントの最初の3項目は教科書に準拠していますが、少し独自のものも付け加えてみました。例えば、お話では五感にうったえかける言葉が非常に効果的です。また、具体的に書くことも大切です。「とても大きい」と言われても、曖昧すぎて聞き手にはどのくらい大きいのかよくわかりません。できるだけ読者が想像しやすいように書くことも、良いお話に不可欠です。 漢字の読み方や書き順を学ぶことはもちろん大切です。ただ、色の名前をたくさん知っていても素晴らしい絵は描けないように、いくら難しい漢字や言葉を知っていても、それだけでは人の心を打つ美しい文章は書けません。
子供たちが、人の心の機微を読み取り、それを表現することができる優しい心を身につけられるよう願ってやみません。 #ニュルンベルク補習校 #ニュルンベルク補習校2年生 #ドイツ補習校#サッカードイツ代表#海外子女 #ドイツ#小学二年生 #小学二年生国語 #国語 #光村図書 #お話のさくしゃになろう#物語 #小説 #Creative writing
2 コメント
U
1/23/2023 00:23:23
『色の名前をたくさん知っていても素晴らしい絵は描けないように、いくら難しい漢字や言葉を知っていても、それだけでは人の心を打つ美しい文章は書けません。』 まさにそうですね。教科書から人物描写・情景を読み取るだけではなく、自分で表現する機会を作っていこうと思います!
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Y
1/28/2023 14:11:51
ありがとうございます! まだまだ改良の余地があると思いますので、ぜひ土台にしてください!
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